ミスをしないような仕事はするな。

管理職をしていた頃、よく部下が「失敗したくない」と慎重に、慎重過ぎるほどモノゴトを進めていたことを思い出す。

万一失敗をしようものなら、へたすると次の日から会社に来ない。

実際に来なかった部下にどういう心象で会社に出社できなくなったかを聴くと、失敗して叱責されるから、と。

部下が失敗してもまず叱責はせず、今後同じことを繰り返さないために部下自身の再発防止策と課内でのリスクヘッジ・マネジメントの仕組み作りをするように心がけていたが、彼にとってはその一連の行動自体が叱責に値するそうだ。

自分がミスしたばかりに、周りの人に迷惑をかけて・・・


と考えること自体は日本的と言うか、非常に謙虚に写るが、これを繰り返すと終いには「自分がまたミスをして迷惑をかけたらどうしよう。」と思って、出勤ができなくなったそうだ。

組織ってそうじゃないと思う。

メンバー一人がミスっても、周りでサポートして、みんなでカバーをして、その原因を追求し、再発防止策を徹底的に考え、実行する。
それで十分だし、それも組織の仕事のうち。

だからミスをしまくれ!とまでは言わないが、ミスをしないような仕事はするな!と常日頃伝えまくった。

彼が会社を休むことはなくなった。一回り成長できたに違いない。

ミスをおそれ、大胆な仕事ができなかったんだから、それ以降、彼の仕事ぶりは素晴らしい。

かく言う僕は今もミスをしまくるんだから。