伊坂幸太郎「砂漠」読了

伊坂さんの作品は、文庫化さえされれば必ずゲットして読みます。
そしていつのまにやら「砂漠」が文庫化されてましたので、一気に読みました。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

舞台はやっぱり仙台。
主な登場人物は主人公含め同級生の5人。
その5人のうちの一人、西嶋が起こす騒動や言動、そして行動。
「砂漠に雪を降らせる」彼の行動力、自らを鳥が空から俯瞰してモノゴトを判断する鳥瞰主義者の北村。そして作品の中で最も大きな不幸が起きるものの、仲間に励まされ、そしてどんどん強くなる鳥井、不思議な力を持つ南、冷徹な印象がありつつも、しっかりとした自分を持ち、持ち続ける東堂。
この5人で起こした騒動、そして奇跡、そして成長。

こんなインパクトのある仲間は身の回りにいなかったけど、それでも彼らが感じ、思っていることは自らの大学時代に重ねることもできました。

そして・・・
大学を卒業後に社会という砂漠が待っている、そんな明確なことばとして感じることはできなかったけど、社会は厳しいと聴いていた以上に、自分にとっても厳しく、そして不安なことばかりでした。

でも文中にあった「頭をかきむしりながら生きていくもの」というコトバには救われました。
ああ、誰もが迷い、悩み、苦しいと思いながら、この社会という砂漠を生きているんだな、と。

懐かしい気持ち、爽やかな気持ち、そして勇気づけられた、伊坂幸太郎さんの「砂漠」。素晴らしい作品でした。