これからの音楽チャートについて
気になるニュースがあったので、久々マジ音楽エントリー。
▼配信シングル急成長、格付け異変
http://www.asahi.com/digital/mobile/TKY200803080076.html
昨年のヒット曲といえば「千の風になって」を思い浮かべる人が多いはず。事実シングルCDでは唯一のミリオンセラー。でも、もう一つのミリオンシングルがあったのをご存じか。携帯電話向けに音楽配信された新人バンドGReeeeNの「愛唄(あいうた)」だ。シングル曲の流通手段として配信が急成長するなか、時代の「ヒット曲」がますますわからなくなっている。
オリコンチャートは今のアーティストの実勢をランキングすることがでいているか?答えはやっぱりNOだと思う。
話はいきなり飛ぶが、音楽業界は、長らく流行とハードとオリコンチャートに左右されて言っても過言ではない。
流行
この点が不明確だからこそレコード会社もマネジメントも苦労していて、レコード業界が水物であることを意味している。
ハード
レコードプレイヤーの時代はレコード、CDプレイヤーができてから久しくCDが音楽を消費者へ伝える媒体=ソフトとして機能。
オリコンチャート
オリコン調査協力店の集計結果を元に逆算し、全国の推定枚数を「オリコンポイント」として発表。
このオリコンチャート、もし1位になろうものなら、何億もの宣伝効果があると某代理店が算出した、という話を聞いたことがある。
(オリコンチャートを元にランキングとして発表しているTV媒体、WEB、新聞などは数えきれない。)
オリコンチャートがあって、その背景には数億円規模の宣伝効果があるからこそ、誰もがオリコンチャートの上位を狙う。
だからオリコンチャートはありがたいものでもあり、アーティスト周りのスタッフにとって、いつも頭痛の種。
今回、オリコンの小池社長は以下のように語っている。
「本当に好きなアーティストの音は手元に形として持っておきたいもの。シングルヒットはアルバム購入の道筋をつけ、ひいてはアーティストへの忠誠度を高める役目を果たしてきた。配信はまだ宣伝道具の域を出ていないのではないか」
「素晴らしくてコストパフォーマンスが良いものに所有欲が芽生える。その所有欲こそランキングの指標となり得る。」というこの考えは真理を一部ついているものの、これからの音楽業界の発展を考えるのなら、次のフェーズを考えるべきだと思う。
僕が言いたいのは、CDと配信を合算したチャートを作って欲しいということではなく、CDだけが本当にそのアーティストや楽曲の価値を決めるものなのか、という点。
消費者の音楽消費の方法は変化している。この点は、津田さんも言っている通り、危惧すべき状況になりつつあるのかもしれない。
「80年代まで所有するものだった音楽は、90年代以降、消費財の一面を強めていった。配信でそんな音楽の聴き捨て文化が加速している気がする。時代のヒットとはランキングといったデータではなく、むしろ音楽体験の記憶から語り継がれていくものではないか」
配信が作った功績(インタラクティブ性、サブスクリプション課金の一般化など)もあれば、津田さんが指摘されているマイナスの面もある。でもそんな“音楽の浪費”スタイルが一般化されているのなら、そのスタイルに合わせたコンテンツ提供の方法を探るべき。
▼この辺りは以前このエントリーで詳しく書いてみました。
http://d.hatena.ne.jp/msml/20080103/1199381941
話は戻って、ではこれからのチャートはどうあるべきか?どういう指標でアーティストや楽曲の価値を表現するべきか?
というところかと。
オリコンチャートが本当に日本の音楽ビジネスを考える、公平な第三者機関なら、ユーザーが音楽を楽しむ近未来のスタイルを考えて、チャートを作るべき。